Sanoyas

LNG燃料ケミカルタンカー及び燃料供給システムの一般設計承認を取得

株式会社新来島サノヤス造船

 株式会社新来島どっくは、温室効果ガス(GHG)削減に関する取り組みが海事業界でも活発化する中、GHG削減に寄与する船舶の開発を進めており、液化天然ガス(LNG)を主燃料とした国内初の自動車運搬船(PCC)の建造や、一般財団法人日本海事協会(以下、「NK」)殿よりケミカルタンカーにおけるLNG燃料対応の設計基本承認(AiP:Approval in Principle)の取得、環境負荷低減として、次世代燃料の候補の一つであるアンモニアを主燃料とするアンモニア燃料PCCのAiPを取得しており、環境に優しい船舶の開発を行っています。

 新来島どっくは燃料ガス供給装置(FGSS: Fuel Gas Supply System)メーカーでもある当社と共同で協議・検討を進め、当社製のFGSSを搭載したLNGを主燃料とするケミカルタンカーの開発に取り組み、NKよりLNG燃料ケミカルタンカーとFGSSの一般設計承認(GDA:General Design Approval)をそれぞれ取得しました。

 AiPではなく、詳細な設計段階にある状態で取得可能であるGDAを取得したことにより、設計段階で起こりうる様々な問題点の洗い出しが終了しており、受注後の迅速な設計が可能となります。また、LNG燃料船の船体だけでなくLNG燃料タンクから機器へのガス燃料供給までの燃料供給システム全体を新来島どっくグループにて設計可能であり、お客様のご要望に柔軟に対応することが可能となります。

 本船は、2020年にAiPを取得したLNG燃料対応49,000 DWTケミカルタンカーの設計思想を当社の主力である26,000 DWTクラスの船に落とし込んでおり、二次防壁を要しない独立型Type CのLNG燃料タンクを2基甲板上に設置しています。LNG燃料タンクを設置する上でケミカルタンカー特有の甲板上に多数ある配管との兼ね合いが問題となりますが、当社と共同で開発を行うことにより、従来のケミカルタンカーとしての機能面を損なうことなく設置が可能となりました。また、燃料調整室を船尾楼甲板下の機関室とカーゴタンクの間に配置することにより、LNG燃料タンク及びガスバンカーステーションから機関室までのガス配管を最適化しており、滞りなくLNG燃料を主機関、主発電機関及び補助ボイラーへ供給することを可能としています。燃料調整室の下には諸タンク及びバラストポンプ室を配置し、無駄なスペースを作らない配置としています。

 新来島どっくグループは、これまで培ってきた船舶及び搭載される機器・システムの知見を基に、今後も環境負荷低減技術を活かし、環境規制強化に対応した船舶の開発や建造に取り組んで参ります。

【主要目】
船種     :IMO TYPE Ⅱ&Ⅲケミカルタンカー
主寸法(LBD)  :149.50m×28.40m×14.60m
夏期満載喫水 :約10.25m
載貨重量トン数:約26,500mt
総トン数   :約18,900
航海速力   :約14.7knots

DFケミカルタンカー

FPU